日立市郷土博物館で開催されている
『水戸藩の海防史跡をたどる』を見学し、翌日は旧十王町の友部御番陣屋を皮切りに大洗町の磯浜海防陣屋まで海岸線を南下しつつ9カ所の幕末海防施設を回って来た[参加者:岡田、ひづめ、ひるね]。2004年にも一通りは見ているが、間違えもあったのでそれらの再確認も兼ねての再訪だ。各施設の詳しい解説は記事の最後に挙げた参考書やページをご参照いただくとして、現況を一挙公開。

(1)友部御番陣屋 最近公園整備がされたようで草むらは整地されていたが、以前の方が良かったと感じる。

(2)上台塚 うわだい-つか。友部御番陣屋の調練場と言われる。前回は陣屋しか見なかったのでこちらは初見。道側からだと薮で分かり難いが、西側へ回れば土盛が分かる。単純な円形の塚ではなく土が削り取られたものか砲弾で抉られたものか
土塁が3本飛び出した櫛型あるいはカッパの指型。林木育種センターの道を挟んで西側。

(3)川尻異国船遠見番所&折笠台場 川尻漁港西側の御番山の最頂部は見張台だったと思われる。その北側の一段低くなった所に番所の建物があったらしい。御番山麓に折笠台場はあったが現在は民家が建っていて台場遺構はないが、一段高くなっているのははっきりと確認できる。[写真は2004年時のもの]
助川館 今回はパス。

(4)初崎台場 またも良く分からなかった。再々訪したい。[写真は2004年時のもの]

(5)河原子台場 「河原子海岸の公衆トイレの場所」という情報を頼りに前回は烏帽子岩の近くのトイレの写真を写してしまった。そこよりも150mほど北にある「観光案内所近くの公衆トイレの付近」が正しかったようだ。さらに言えばそこから50mほど北に建つ白い建物の北隣の駐車場がもっと正確なようだ。

(6)坂上陣屋 前回は知らなかったので今回が初見。幼稚園の駐車場の場所と推定されている。眺望は良いのだが管轄する河原子台場を直接目視はできない。こういう例は友部御番陣屋と川尻異国船遠見番所&折笠台場、磯浜海防陣屋と祝町向洲台場など珍しいことではないようだ。
大沼異国船御番陣屋 今回はパス。
水木異国船遠見番所 今回はパス。

(7)久慈台場 前回は行戸公園の別の場所を見たが、琴平神社の付近がより正確らしい。見学の際は行戸公園と行戸児童公園とを間違えない様に。

(8)東塚原台場 なんといってもホームページ
『平磯町の懐かしい時代』の管理人さんの詳細な調査によって、まず間違いないと思われる精度で台場の場所が比定されたのは最近の画期的な出来事。詳細は
「水戸湊の御台場 我、東塚原台場を特定せり!」にあるので、その記事をたよりに見て来た。写真の土塁が遺構かどうかははっきりしないが場所はこの辺り。
和田台場 今回はパス。
寅賓閣海防見張番所 いひんかく。今回はパス。
祝町向洲台場 今回はパス。

(9)磯浜海防陣屋 最近第2面の薮が刈られ中央の塚と土塁および東側辺縁の土塁が出たと聞いていたので見て来た。現在第3面と呼んでいる土壇を初めて見たのが丁度5年前の2004年4月26日だった。その後、一考さんや大洗町の歴史と自然を楽しむ会のメンバーが国立歴史民俗博物館所蔵史料水戸天狗党絵巻の中に磯浜海防陣屋が描かれていることを発見、その確認のためにものすごい薮の中を本格的に踏査したのが
2007年10月23日(私も参加)。下から第1面、第2面、第3面と3段からなる構造はそのときに初めて明らかになり、古絵図に描かれたものが裏付けられた。さて、残る第1面だが、その全容が明らかになるのもそう遠いことではないと思われる。
【参考】
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『ガイドブック助川海防城と陣屋・番所・台場』 友部御番陣屋から久慈台場までは本書があれば初めてでもほぼ回れると思う。今回、日立市郷土博物館で購入。
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『水戸藩の海防史跡をたどる』展示会図録 日立市郷土博物館で購入。
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『常陸国における江戸時代台場の集成的検討』 茨城県内の近世台場を網羅した画期的報告書。
・
『国別 城郭・陣屋・要害・台場事典』・
友部海防陣屋調査会のホームページと
『友部海防陣屋』・
茨城県内の幕末海防施設 内容が古くなっていますのでご理解の上ご利用ください。
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