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リストマーク 享徳の乱に始まった戦国時代の終焉 

2020年11月01日 ()
他所にも書いた同じような内容だがこちらでもご紹介しておこう。

2010262.jpg列島の戦国史⑦
『東日本の統合と織豊政権』 竹井英文著
           吉川弘文館 2020年 2500円

ヤブレンジャーの若きアイドル竹井英文先生の新著。ご専門の文献史学の立場から古文書を証拠にしての論考には説得力と臨場感があるだけでなく、文章が読みやすく分かりやすいという親しみやすさが加わり、いまや売れっ子歴史学者に名を連ねられ、祝着至極。

さて、本書はどうかというと、ご本人もあとがきに書かれているが、こういう通史物は事実の羅列に終始し退屈になりがちで、確かに最初の2章は目まぐるしく入れ替わる勢力争いの流れに着いていけずにいたが、有名武将たちの気持ちの表れたユーモラスな箇所を古文書から抜き出しているのは竹井氏らしい工夫だと感じられた。例えば、
・武田信玄に蒲原城をを落とされた北条氏政「余りに恐怖」
・上杉謙信に援護要請を無視された北条氏康の恨み節「御加勢一途にこれ無き故、かくのごときの儀、是非無く候」
・自分の密書を人前で回覧した太田三楽斎に激怒する謙信「美濃守の事は天罰者」
・信玄と同盟を結んだ氏政の行動に怒った謙信は繰り返し「馬鹿」と罵倒
・信玄の行動に怒った信長は「前代未聞の無道者」「侍の義理を知らず」と批判
・信玄と信長の同盟破綻を知った謙信「信玄運の極み」「信玄蜂の巣に手を指し」「信玄に汗をかかするべく候」
・佐竹方にも勝てない氏政が自分と戦うなど「腹筋に候」と侮る謙信
・謙信は信玄を追い詰めたらその足で氏政を「蹴倒す」と豪語
・謙信は兵糧の搬入に失敗した家臣を「佐藤ばかもの」と激怒
などなど、歴史ドラマではかっこいいヒーローといえども人の子、怒ったり笑ったりぼやいたりしている姿が目に浮かんでくる。
その後の3章は社会構造やインフラや経済活動に関する内容で面白くなったので引き続き読み進めそうだ。
[2020.11.01(Sun) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0)
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