TOP >
BACK | TOP | NEXT

リストマーク 享徳の乱 メジャーになるのはいつ? 

2020年10月02日 ()
2009081.jpg列島の戦国史①
『享徳の乱と戦国時代』 久保健一郎著
           吉川弘文館 2020年 2500円

夏休みの予定に、古河、下野国南部(小山)、武蔵国北部(五十子)を混ぜておいたのは、享徳の乱の主戦場・聖地めぐりをしたかったからなのだが、最近この様な本が出ていたことをつい先日知ってさっそく購入。年初の新刊『太田道灌と長尾景春』のあとがきでの黒田基樹先生の力強い宣言が現す様に、享徳の乱と足利成氏についての研究戦国時代がまもなく幕を開けることは必定。とにかく予習予習。

と書いた途端に、10月5日報道のBS-TBS「にっぽん歴史鑑定 #250」で太田道灌が取り上げられるということが目に飛び込んできた。長尾景春の乱とか、まさしく享徳の乱の時代。放送は見られないが、直後からネットに情報が飛び交いそうで楽しみだ。
[2020.10.02(Fri) 21:14] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 小山周辺 よくばりな城めぐり 

2020年09月05日 ()
夏の終わりの猛烈な暑さの中、平将門の乱、小田氏の祖・八田氏苗字の地?、享徳の乱、長尾景春の乱、小山義政の乱、小山若犬丸の乱、忍藩下級武士尾崎石城の日常めぐりなど、平安時代末から江戸時代末までのよくばりな旅の記録。

8月28日 自宅〜小栗〜鞘堂〜壬生城〜下野薬師寺〜下野国庁〜称念寺〜小山 走行距離120km
2009011.jpg 小栗の御殿城跡 筑西市小栗の八田は小田氏の祖である八田氏苗字の地ともいわれる。現在の八田集落が小貝川を挟んだ西隣にあるのは、もしかすると流路変更や村落移動があったためかもしれない。明治の迅速測図には小栗の西光寺南西側に方形土塁がはっきりと描かれている。この場所は御殿城跡と伝わり、現在も微高地として残っている(写真)。北側に八田ノ原、南東に小田塚の地名も伝わる。小栗城からは1500mほど離れているので、別の城館と考えて良いだろう。

2009012.jpg 上三川町の鞘堂地蔵尊 小山義政の乱の前哨戦となる小山義政と宇都宮基綱の激戦・裳原合戦での戦死者を供養し鞘を埋めたという伝承がある。お守りをされている鞘堂自治会の方々の熱意が感じられた。

2009013.jpg 壬生城(壬生町) 松平信興のもとで土浦城の普請を終えた4代山本菅助晴方が信興の甥輝貞と実の甥(後養子)幸運とともに移った城で、間も無く晴方は死んだため普請は主に幸運(5代十左衛門)によるものと考えられる。城郭のサイズや構造が土浦城に酷似していると感じるのは気のせいだろうか。歴史民俗資料館の北東約150mの住宅地の中に土塁の一部が残っている。

2009014.jpg 下野薬師寺(下野市) 国家事業で7世紀末創建され、761年には東大寺、筑紫観世音寺と並ぶ戒壇が置かれた。770年に失脚した道鏡の配流地でもある。足利尊氏が全国に安国寺を創建させた際、下野では薬師寺を安国寺に改めた。

2009015.jpg 薬師寺八幡宮 薬師寺の東隣にある。現在の本殿と拝殿は佐竹右京大夫(秋田藩3代藩主義処)によって再建され、確かに軒唐破風の神紋に五本骨扇に月丸の家紋が嵌め込まれていた。こんなところで佐竹右京大夫の名を見るとは思わなかった。

2009016.jpg 下野国庁(栃木市) 平将門の乱で、常陸国府の次に襲ったのが下野国府。ただし、『平将門の乱』の著者川尻秋生氏は、一国取るも坂東全部を取るも公儀の責めは同じと武蔵権守興世王に唆されたという『将門記』の記述は創作としている。

 称念寺 伝・寒川の尼墓所があると聞いて行ったが別の称念寺だった。

8月29日 小山〜五十子陣〜増国寺〜忍城〜小山 走行距離140km
2009017.jpg 五十子陣(本庄市) 享徳の乱勃発で古河へ移った公方足利成氏に対峙するために幕府・関東管領上杉氏方が兵站基地として設置した城郭。長尾景春による五十子陣襲撃は、28年におよぶ享徳の乱の膠着状態を打開した潮目ともいえる事件で、景春をバックアップする成氏も景春と対戦する上杉氏も、景春の大暴れとは逆に急速に和睦へ向かうことになる。空中写真を見る限り1960年時点で五十子陣の遺構はほぼ隠滅状態。女堀川南岸の段差が唯一城壁の名残だと思われるが、夏草の繁茂で堤防すら歩けずそれを眺めることすらできなかった。

2009018.jpg 増国寺 五十子陣の南西方向すぐ近く、というか陣の一部だったと思われる位置にある。享徳の乱、長尾景春の乱、長享の乱の一部始終を新田岩松家の視点から記録した『松陰私語』の著者松陰が中興開山した寺で、位牌があるという。また、墓跡と伝承されるものもあると聞くが見つけられなかった。

2009019.jpg 忍城の城下町(行田市) 『新訂 幕末下級武士の絵日記』の主人公尾崎石城がくらした下級武士や町人の町を自転車でめぐった。行田・忍公民館で自転車に乗り換え、すぐ南側の一画、石城くんの家があったと思われる界隈の路地を自転車で通り抜けて大蔵寺へ向かう(写真)。大蔵寺も隣の遍照院も今でもそのままの場所にあり、閑静な佇まいを残していた。ここらは毎日石城くんが行ったり来たりしていたところ。公民館近くのVert Cafeで昼食休憩してから、清善寺を抜け、牢屋跡、馬出跡、高札場跡を見ながら町人町の東の外れ長福寺跡(現愛宕神社)までを往復した。土浦同様に行田の町も空襲を受けなかった幸運に加え、強引な道の付け替えが少なく、近世の街路、水路(暗渠含め)、町割が保存状態良くパッケージされた貴重な城下町だと感じる。もう少し近くに住んでいたら何度も行って街中をくまなく自転車で走ってみたい街だ。

8月30日 小山氏城館群めぐり 中久喜城〜神鳥谷曲輪〜鷲城〜祇園城 
20090110.jpg 中久喜城 暑くなる前、朝飯前の5時40分に小山駅東口を出発し約3kmを自転車で往復した。水戸線の城山踏切を渡った南側が本城ではあるがとても入れる状態ではない。畑作業をしにきた方から城を見にきたのかと声をかけられ、しばらく立ち話をする。

20090111.jpg 神鳥谷曲輪 ひととのや-くるわと読む。朝飯後に自転車で出発。今日は朝のうちに小山駅周辺の城館群を回って暑くなる前に戻ってくる計画。JR線の東側に約100mの土塁の残欠(写真)、西側には平場が残る。

20090112.jpg 鷲城 鷲神社と周辺の土塁を見る。運動公園側にも見所はあったのかもしれないが、暑いので次へ向かう。

 長福城 村社八幡神社北側のやはた公園に城址碑、二中グランド西側に土塁があるらしいが見落とした。

 小山評定の場所 小山のアイデンティティは小山評定にあるのかもしれないが、今回はスルー。

20090113.jpg 祇園城 主要部分は城山公園としてダイナミックな遺構がよく残されているので街中の城址としては申し分ない状態。なのに、曲輪などを示す案内板はステかんで作ってあって驚いた(写真)。鷲城、祇園城、中久喜城は小山氏城跡として29年前(中久喜城は19年前)に国指定史跡に指定されているが、それにしてはいずれの城址もお粗末な整備状況と言わざるを得なかった。このままでは国指定史跡が泣いちゃうでしょうよ。現代小山の愛着は小山氏ではなく徳川氏なのだろうか?
 
8月31日 小山〜古河〜自宅 走行距離90km
20090114.jpg 古河公方足利成氏の祈願寺・尊勝院(古河市)

20090115.jpg 成氏が鶴岡八幡宮から勧請した諏訪八幡宮

20090116.jpg 福法寺に移築されている古河城二の丸御殿入口だった乾門(写真)などを見ながら旧市街を自転車で数時間回る。車のトラブルがあったため、将門の石井の営所跡や下総国亭跡は廻らずに帰宅した。

最高気温38℃にもなった酷暑の中、行田、小山、古河の街を自転車で走ったが、ペダルを漕いでいると風も吹くので暑さも若干和らいだような気分がした。
[2020.09.05(Sat) 00:00] お城情報 | Trackback(-) | Comments(2) 見る▼
↑TOPへ


COMMENT

by 京
素晴らしい😄自転車が小さくてビックリ😵こんな自転車で回ったんですね😄古河は暑さで有名なのに😮お疲れ様です😄将門も意識して頂き(将門ファン)としてはありがたいです😄次は岩井も回って下さい。それにしても背景を知りつつの城巡りは充実していますね。私なんかは「はぁここが城だったのか」で終わってしまって😖それでも感動は有るので😄歴史の背景が分かった上ではもっともっと深い感慨が得られるんでしょうね。しかし、お城が多すぎて見切れないです😂小出しに発信して下さい。そろそろ見ます😄

by ひづめ
京さん、ありがとうございます。
この自転車は折りたたむとA4版の面積に立てられるくらいになります。キャスターもついているのでカバーをすれば電車にも落ち込めますよ。小径車に有り勝ちな、漕いでも漕いでも進まないといったこともなく、とても快適に走れます。
各場所について書くべきことはまだまだあるのですが、大変なので短く触りだけにしたために、きっとわかりにくいでしょうね。自主的にWikiなどでチェックしてみてください。
今回は最終日にATの具合が悪くなって、古河から直帰してしまい、石井営所と国亭をスルーしました。日を改めて回ってみます。

コメントを閉じる▲

リストマーク 笠間城 20年ぶり 

2020年08月10日 ()
この前、久しぶりに笠間城の上まで行ってきた。訪城記録を見返すと2000年2月以来だった。もちろん東日本大震災で崩れた石垣を見るのは始めて。地元のボランティアガイドさんのご案内だったので、お城歩きではあまり見ないだろう場所もご案内いただいた。

2008031.jpeg旧大石邸。

2008032.jpeg雨降り桜。

2008033.jpeg佐志能神社拝殿。
 辛うじて四隅の石垣は残っているが、大雨が続くと石垣の下の土が流れて不安定になるのではないかと大変心配な状況だ。
[2020.08.10(Mon) 00:00] 散策 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 「平将門の乱」について読み始める 

2020年07月11日 ()
2007101.jpg この城は平将門が築城しましたと聞いても、戦国時代よりもかなり前のことなので、可能性を否定はしないが、重要地点であればあるほどその後の時代に再度取り立てられて将門時代の痕跡はわからなくなっていることだろう。ということで、城郭の点からは将門は自分にとってリアリティを感じる存在ではなかったので、これまで断片的でありきたりの将門イメージしかもっていなかった。
 最近ちょっとしたきっかけがあって、もう少し具体的な将門の乱と将門像を知りたいと思って本を読み始めたところへ届いた将門煎餅。というのは逆で、将門について考える機会を与えてくれたのは、この品の送り主で『図説 茨城の城郭』の熱烈な読者の方だ。
 いただいた将門煎餅を食べながら将門の本を読んでいるのだが、人物関係や事件の関連がなかなか頭に入ってこない。そんな折、NHKオンデマンドで『風と雲と虹と』総集編(前編・後編)が見られるようになっているので、これも見ながら本を読んでいる。
 平将門について勉強するきっかけは、将門は平凡な開発領主だったのか?という問いについての答えを得たいからだ。将門の乱は、国衙の占拠や新皇宣言が示すように関東限定とはいえ律令国家を維持してきたシステムが奪取され、貴族社会を恐怖のどん底に落とし込んだ大事件だった。それは、武士の起こりとか、律令制の崩壊とか、荘園の始まりなどの日本史的大問題と直結している。将門の乱が分かりにくいのは、史料が少ないことに加えて、舞台となった地域の当時の地勢、戦国時代の知識をベースにできない様々な社会システム、そしてその大きな変動時期であることなどが絡んでいて、単に事件の経過を追っていくだけではわからないことだらけだからだと思う。
 この機会に何冊か選んだ次のような本を読んで、将門の時代を見ていきたいと思っている。

2007102.jpg岩田選書・地域の中世2
『中世関東の内海世界』 鈴木哲雄著 岩田書院
              2005年 3000円
 今回購入したものではないが、香取の内海論の先駆的研究者が、将門の乱の舞台を水上交通路の視点から記述している論文が含まれている。

2007103.jpg『新訂 将門記』 林陸朗編注 現代思潮社
              2006年 2700円
 「将門記」の現代語対訳本。これはサブテキストとして買っておいた。

2007104.jpg戦争の日本史4
『平将門の乱』 川尻秋生著 吉川弘文館
              2007年 2500円
 若干古い本だが、現在でも将門の乱について手軽に読める、最もよくまとまっている本の一つらしい。最初にこの本をから始めるのがスタンダードかもしれない。

2007105.jpgシリーズ・中世関東武士の研究 第16巻
『常陸平氏』 高橋修編著 戎光祥出版
              2015年 6500円
 巻頭の「総論 常陸平氏成立史研究の現在」は、これまでの常陸平氏についての研究史が手際よくまとめられていて、その導入部分が将門に関わる内容になっている。他の本よりも前に読んで概観し、他の本を読みながら確認し、他の本を読み終わってからまとめ的に読んでみるといいかもしれない。本書も、今回のために購入したものではなかったが、思いがけず良い本を所有していた。

2007106.jpg歴史文化ライブラリー189
『平将門の乱を読み解く』 木村茂光著 吉川弘文館
              2019年 1800円
 今回将門について知りたくなって、最初に手に取ったのがこの本。本書で明らかにしたい5つの論点がプロローグに挙げられているのだが、一族内紛の経過があっさりし過ぎだし、営所が陸奥ともつながる水陸の交通の要所であること、八幡神と道真の登場、王土王民思想の指摘も受領国司への権力集中政策と言い換えられるし、大体は川尻氏の本で述べられているように感じる。ただ、冥界消息については、確かに本書が力を入れた部分だと思われる。ただ、将門の営所があったと言われる坂東市岩井の場所を終始千葉県と勘違いされていたり、筑波周辺の場所の位置関係や方位関係を誤って記述されたりしているのはいただけない。
[2020.07.11(Sat) 07:33] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク みんなで翻刻 小さな貢献が大きな成果になるプロジェクト 

2020年06月12日 ()
2006111.jpgネット上に公開されている古文書から自分が読みたいページを選んで翻刻をしていく「みんなで翻刻」というプロジェクトがあるのを一週間前に知りました。サイトにアップされているたくさんの古文書の中から、自分にも読めそうなものを選んで、好きなページ(見開き)を読んで入力していきます。分からないところは添削希望としておけば、親切なベテランが直してくれる場合もあります。個人の小さな貢献を集めて大きな成果にするという画期的なプロジェクトだと感じます。これ、古文書を読める方、読んでみたいと思っている方にとっては、やり始めたら止まらなくなると思います。自分も、時の経つのも忘れて作業をしてしまい、1週間で入力文字が13000を越え、作業の進捗に沿ってランキングも少しずつ上昇するのが励みになります。まず手始めに、お世話になっている茨城大学図書館所蔵の読みやすい近世文書から始めている。
[2020.06.12(Fri) 00:00] 古文書 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 自宅で「城郭図展」? 

2020年05月13日 ()
2005071.jpegGW中に「土浦城とつながる 城郭図展」の撤収作業をしているまさにそのときに、地元の知り合いから「いまから見に行きたい」と電話がかかってきました。もう手遅れなので、後日自宅に並べたのを見に来ていただきました。
[2020.05.13(Wed) 00:00] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 『土浦城とつながる 城郭図展』 第2期中止のお知らせ 

2020年04月14日 ()
4月18日(土)〜5月6日(水)の日程で開催を予定していました、『土浦城とつながる 城郭図展』の第2期ですが、社会情勢を鑑みて中止することにいたしました。第1期開催期間中にはたくさんの方にご来場いただきました。ありがとうございました。茨城城郭研究会を今後ともよろしくお願いいたします。
[2020.04.14(Tue) 12:40] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 特別展図録 『親鸞 ー茨城滞在20年の軌跡ー』 

2020年04月10日 ()
2002274.jpg平成21年度特別展 『親鸞 ー茨城滞在20年の軌跡ー』
             茨城県立歴史館 編集・発行

 配流を許された後の1214年、親鸞は現在の茨城県笠間市稲田へ来る。宇都宮氏がこの地へ勢力を伸ばすきっかけとなった寺院間問題への武力介入は9年前の1205年。親鸞が稲田を離れたのが1235年とすると、その17年後に忍性は小田へやって来ることになる。仏教は苦手だが、この時代の常陸国南部における親鸞や忍性については、宗教的な面だけを見ているわけにはいかないことを感じる。宇都宮氏、笠間氏、八田氏、小田氏と宗教者たちの宗教以外の関係を見るヒントを得られることを期待して古書店で購入した。
[2020.04.10(Fri) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 『土浦城とつながる 城郭図展』開催中 

2020年03月23日 ()
2003231.jpeg前回は『土浦城とつながる 城郭図展』準備ほぼ完了までしか書いていませんでしたが、おかげさまで予定通り3月14日から開催しております。前期日程は3月29日が最終日で、残り7日間となっています。今回ご都合がつかなかった方も、後期展示期間にぜひご覧ください。
  第1期 3月14日(土)〜3月29日(日)
  第2期 4月18日(土)〜5月6日(水)
 →チラシ

2003232.jpegお隣亀城公園にある土浦市立博物館の特別展『土浦城 ー時代を越えた継承の軌跡ー』へは2回行きましたが、毎回2時間くらい見てもまだまだ興味が尽きません。図録も読みやすくて、売れ行き順調というのも納得です。さらに、上高津貝塚ふるさと歴史の広場のテーマ展『地下にのこる土浦城』、土浦市民ギャラリーの『戦国群像 諏訪原寛幸イラストレーション展』も見ることができて、これまでの謎が整理されてきた感じがしています。
[2020.03.23(Mon) 11:45] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 『土浦城とつながる 城郭図展』 準備ほぼ完了 

2020年03月11日 ()
2003181.jpg 先にお知らせいたしました茨城城郭研究会 第1回テーマ展『土浦城とつながる 城郭図展』を、予定通り3月14日(土)から開催いたします。会場は、土浦城跡の亀城公園すぐ近くのギャラリー「がばんクリエイティブルーム」です。詳しくは右図をクリックしてください。→
  会場の地図はこちら

 武田信玄の軍師といわれ川中島で討ち死にしたはずの山本菅助が江戸時代に土浦へ来ている不思議、土浦城整備を行った4代目が復活させた菅助ブランドの築城術は最後の和式築城といわれる北海道松前城へもつながるという不思議、土浦城は年明けから話題のNHK大河『麒麟がくる』の明智光秀や土岐氏とも細い糸でつながるという不思議などなど、土浦城とつながるいろいろな縁をご紹介する展示会です。

2003101.jpg さらに、戦国の不死鳥小田氏治と関係するつくば霞ヶ浦りんりんロード沿いの城郭も多数紹介していますので、サイクリングへ出発する前の情報収集にもぜひお立ち寄りください。

 コロナ騒動で気分が滅入る毎日ですが、幸いと言うか、当展示会場は多数の観覧者で混雑することもないと思いますので、土浦市立博物館特別展への行き帰りあるいは気分転換にお立ち寄りいただけるとありがたいです。

2003102.jpg 会場準備もほぼ完了しました。
[2020.03.11(Wed) 00:00] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 茨城城郭研究会 第1回テーマ展『土浦城とつながる 城郭図展』のお知らせ 

2020年02月18日 ()
2003181.jpg茨城城郭研究会 第1回テーマ展
『土浦城とつながる 城郭図展』
を以下の予定で開催いたします。
  第1期 3月14日(土)〜3月29日(日)
  第2期 4月18日(土)〜5月6日(水)
  会場:がばんクリエイティブルーム
     (亀城公園となり)→ 会場地図

「土浦城とつながる」をキーワードに、土浦の周辺地域または遠方の各城郭が持っている、太いあるいは細い縁をたどって土浦城との不思議なつながりをご紹介する茨城城郭研究会初のテーマ展です。
 土浦城と「城主でつながる」、「りんりんロードでつながる」、武田信玄の軍師「山本菅助でつながる」、はたまた本年話題のドラマ『麒麟がくる』で土浦城とつながるお城まであります。そこから、お城単体では見えにくい、土浦という地域と土浦城の重要性・特殊性を垣間見ていただけると幸いです。

なお、この期間、
 土浦市立博物館 特別展『土浦城 ー時代を越えた継承の軌跡ー』
 上高津貝塚ふるさと歴史の広場 テーマ展『地下にのこる土浦城』
 土浦市立図書館 臨時休館:3月9日(月)~3月31日(火)
 土浦市民ギャラリー 『戦国群像 諏訪原寛幸イラストレーション展』
でも連携展示が開催されますのでぜひ合わせてご見学ください。当会の展示会を含めて、様々な角度から土浦城を楽しんでいただけることと思います。
[2020.02.18(Tue) 11:55] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 小山義政の乱 名門氏族ゆえの受け入れ難い何かがあったのか? 

2020年02月15日 ()
1912211.jpg中世武士選書27
『小山氏の盛衰』 松本一夫著 戎光祥出版
              2015年 2600円

 下野の名門氏族小山氏については、あまり馴染みがなかった。最近、鎌倉府、宇都宮氏、笠間氏、小田氏、あたりが気になるので読んでみた。小山犬若丸の乱に呼応するタイミングで起こった小田孝朝の乱だが、結局なんだったのという事件で、鎌倉府の陰謀に嵌められたのではとさえ感じる。宇都宮氏綱は鎌倉府に対して乱を起こしながらもすぐに降伏して、近年得た領地没収で済んだが、小山義政は徹底抗戦で、3回降参して3回裏切って族滅に至った。受け入れ難い降伏条件だったのだろうか。小山周辺の城館の解説を読みながら、サイクリングで1日かけて回ってみたくなった。
[2020.02.15(Sat) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 2020年新春、展示会が目白押し 

2020年01月19日 ()
2001191.jpgただいま、水戸市役所本庁舎1階で、『佐竹氏常陸国統一』という展示会が開催されています。茨城城郭研究会メンバーも、「徳川さんがまったく登場しない江戸時代」という画期的な概念と資料提示で協力しています。お時間を見つけて、ぜひお出かけください。
その他、どれもこれも魅力的なイベントです。詳細については公式ページでご確認ください。

★常陸佐竹展 in 水戸 『佐竹氏常陸国統一』
  主催:常陸佐竹研究会 共済:茨城城郭研究会、他
  1月8日(水)〜2月6日(木)
  会場:水戸市役所本庁舎1階「多目的スペース」
    →公式ページ
★企画展 『陸平、明治と平成の調査風景』
  1月25日(土)〜3月8日(日)
  会場:美浦村文化財センター展示室
  連続講演会:2月2日、9日、16日、3月1日(全て日曜日)
    →広報みほの案内ページ
★常陸大宮市文書館開館5周年記念講演会 『幕末の常陸大宮』
  1月26日(日)
  会場:緒川総合センター文化ホール
    →公式Twitter
★第5回笠間歴史フォーラム シンポジウム「戦国の城を読み解く」
  主催:笠間市教育委員会
  2月8日(土)
  会場:笠間市笠間公民館
    → 公式ページ
★特別展『佐竹氏ー800年の歴史と文化』
  2月8日(土)〜3月22日(日)
  会場:県立歴史館
    → 公式ページ
★特別展『稲敷魂!稲敷市の文化財 中世文書の世界』
  2月20日(木)〜4月19日(日)
  会場:稲敷市歴史民俗資料館
    → 公式ページ
★特別展『土浦城ー時代を越えた継承の軌跡』
  3月14日(土)〜5月6日(水)
  会場:土浦市立博物館
    →公式ページ
    →Vちゃんねるイバラキでの広報
★茨城城郭研究会 第1回テーマ展『土浦城とつながる 城郭図展』
  第1期 3月14日(土)〜3月29日(日)
  第2期 4月18日(土)〜5月6日(水)
  会場:がばんクリエイティブルーム (亀城公園となり)
    →チラシ
[2020.01.19(Sun) 11:53] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 己の掘った落とし穴に嵌ったのかもしれないけど魅力的な人 

2020年01月15日 ()
1912221.jpg中世武士選書43
『太田道灌と長尾景春』 黒田基樹著 戎光祥出版
                 2019年 2600円

 11月に刊行を知った後、道灌と景春については予習しておいたので飛ばし読みでも流れは追えた。長尾景春の乱は、都鄙合体へ至る享徳の乱後半の流れを作ったが、常に山内上杉顕定との戦争状態を維持したい景春にとって、それは望んでいたのとは違った方向へ行ってしまったはずだ。そう言う意味では、大局を俯瞰し、時代の先を見越している人ではなかったと言える。別の言い方をすれば、自分で掘った落とし穴の場所の記憶があやふやになって自分で嵌ってしまった様な、なんとも憎めない魅力的な人物と言ってもいいだろう。おそらく、緻密で切れすぎる人ではなかったこと、そのことが却って60歳代(説によっては70歳代)まで現役で戦闘を続けながらも、暗殺もされず、また戦でも死ななかった理由の一つなのではないかと考える。古河公方足利成氏も戦では死ななかったが、彼はもう少し緻密な人だったのではないだろうか。
 成氏といえば享徳の乱だが、この乱は成氏による関東管領上杉憲忠誅殺で始まったことになっているが、そもそもの経緯があった中で憲忠は行きがかり上殺された様なもので、反成氏勢力の首魁は扇谷上杉持朝と長尾景仲なのだと思う。特に、持朝のキーパースン度は高い。父足利持氏を殺した上杉憲実への恨みが享徳の乱を戦い続けた成氏の原動力だとする先生もいるが、自分は成氏は恨みで行動した人ではないと感じている。一方で、景春を戦い続けさせたのは上杉顕定への恨みだったのかもしれないなと。ただ、長享の乱終息後一時顕定へ帰参した理由は謎だが。
 12月15日放送のNHKのDJ日本史は太田道灌の巻だった。その中で景春の存在は語られながらも名前は出してもらえなかったのは大変残念だった。もっと名前を売ってもらわなくてはね。応仁の乱に先駆けること30年、関東の戦国時代の幕開けとなった永享-享徳-長享-永正の時代は、とんでもなく異常で魅力的な武将のオンパレードの時代だったのだと思う。
 本書には実はもう一つのボーナス的サプライズがあった。あとがきで黒田先生は足利成氏について「私が次に取り組むべき課題」と驚くべき宣言を書かれていたことだ。自分を鎌倉府の沼地に引きずり込んでくれた成氏についての研究の進展と成果公開の時代が間も無くやってくるということで、たいへん大きな楽しみができたことを感じた。
[2020.01.15(Wed) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 2019年に行った城 

2019年12月31日 ()
 1月 7日 堀之内リュウガイ城
   26日 木原城
 2月 5日 長者屋敷、神向寺城、羽賀城、古渡東城(仮称)、浮島城
   18日 皿数館
   25日 小坂城 
 3月 5日 飯田城
   17日 小坂城
   18日 堀立城
 4月 7日 林外城、林中城
 5月 7日 釜井畝状竪堀遺構(仮称)、阿波畝状竪堀遺構(仮称)、神宮寺城
   13日 阿波畝状竪堀遺構(仮称)
   21日 塙城北城
 6月24日 阿波畝状竪堀遺構(仮称)、木原城
 8月 5日 常陸太田城
   30日 屋嶋城、高松城
   31日 丸亀城
 9月 1日 高松城(水手御門)
12月16日 笠間麓城
   31日 篠崎館、竹来館

のべ29城。
[2019.12.31(Tue) 00:00] お城情報 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 道南十二館についての数少ない成書 

2019年12月10日 ()
1711011.jpg『道南十二館の謎』 木村裕俊著
     北海道出版企画センター 2017年 3800円

 道南十二館は、北海道道南に点在する代表的な中世城館の総称ですが、広く知られているとは言えないと思います。

 本書は400ページを超える大著なのですが、残念に思うのは系図以外の図版が20枚ほどと少ない事です。道南中世史ということであればまだしも、道南十二館と銘打ったからには、読者は城館についての現代的な記述を期待してしまうのは自然でしょう。著者ご自身が踏査図を描かれないにしても、八巻孝夫さんが『図説中世城郭事典 第一巻』で描かれた縄張図や、これまでの調査報告書の図版などがあるわけですから、それらを利用し掲載されなかったことをとても残念に思います。複雑でかつ一般になじみの少ない地域について、言葉の力だけで十分な理解とイメージ惹起を求めるのはなかなか難しいことと感じるからです。
[2019.12.10(Tue) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 顕定とその時代の知識を持ってから読むべき本かも 

2019年11月20日 ()
1911112.jpg中世武士選書24
『上杉顕定 古河公方との対立と関東の大乱』 森田真一著
           戎光祥出版 2014年 2500円

 享徳の乱、長享の乱、永正の乱と立て続けに起こる戦乱で、関東はズブズブの戦国時代へ嵌まり込んでいく。享徳の乱勃発の年に生まれ、3つの大乱の時代を関東管領として采配を振るった上杉顕定の生き方・働きを知りたくて読み始めたのだが、顕定以外の人物と比較して顕定の存在感が希薄で、残念ながらその人物像を掴むことはできなかった。享徳の乱の流れは若干知っているつもりだったが、第1部の「享徳の乱と山内上杉氏」を読んでこれまでの知識が深まるとか整理されるといった感想は持てなかった。第2部「長享の乱と上杉一族」も、顕定の兄で越後上杉家当主定昌の死の項など何が言いたいのか分からない箇所が散見された。第4部「永正の乱と越後」の越後介入あたりから漸く顕定の姿が見えて来たのだが、そのときには命の残りはわずかになっている。長森原での最期はあっけない上に、永正の乱のその後について一言も無いのは不親切ではないだろうか。系図が細切れなので各人の相関関係を掴むのに他書を開きながら読むことを強いられる。せめて足利氏、上杉氏、長尾氏についてはそれぞれの系図を載せて欲しい。第3部「上杉顕定の権力」は、顕定の生涯を通観するには脇道なので、終いまで目を通した後に読み返した。ここでも顕定は影が薄く「山内上杉氏の権力基盤」というタイトルがふさわしいと思うが、ともかくこの本の真価はこの部分にあることを感じた。顕定の花押の変遷、上杉一族の庶家、長尾氏他の家臣団、上野・伊豆・武蔵などの守護分国と守護領についてまとめられている。現在の自分にはこれらの内容を有効に利用できる能力はないが、代わりになる本を見つけるのは難しいと思われる。本書は一般書と専門書の中間に位置するなかなか個性的な本だと言えるだろう。

以上の感想は自分の知識や理解力が乏しいことが原因かもしれないので、この領域に詳しい読者は全く違う感想を持たれるかもしれない。
[2019.11.20(Wed) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 文化庁:文化財保護強調週間 11月1日から7日 

2019年11月01日 ()
毎年11月1日から7日までの1週間は「文化財保護強調週間」だそうです。各地でのイベントは、文化庁の文化財保護強調週間のページから探せば色々と見つかります。でも、このページへ辿り着くまでがなかなか大変でした。
 →文化庁:文化財保護強調週間

年内の身近なイベントをいくつかご紹介しておきます。

・那珂市城館跡調査成果発表展 10月26日〜11月30日
  11月4日(祝月) フォーラム「那珂市城館跡調査報告」
  →那珂市:特別企画展「那珂市城館跡調査成果発表展」

・常陸大宮市指定文化財集中曝涼 11月9日(土)・10日(日)
  11月9日(土) 檜沢城・山城ツアー
  →常陸大宮市文書館のブログ:常指定文化財集中曝涼について

・美浦村:指定文化財曝涼展示 11月9日(土)〜17日(日)
  絹本著色近藤利勝像、虎の刺繍他
  →詳細は、美浦村文化財センター(029-886-0291)へ

・稲敷市歴史民族資料館 秋季資料館講座 11月10日(日)〜12月7日(土)
  →詳細は、稲敷市歴史民族資料館(0299-79-3211)へ

・第11回文書館カレッジ 12月1日(日)
  浄土宗中興の了誉上人御遠忌600年記念シンポジウム
  →詳細は、常陸大宮市文書館(0295-52-0571)へ
[2019.11.01(Fri) 00:00] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 「恩賞給付システム」に続き「戦功覚書」の世界 

2019年10月05日 ()
1909072.jpg戎光祥選書ソレイユ006
『戦国武士の履歴書――「戦功覚書」の世界』
     竹井英文著 戎光祥出版 2019年 1800円

 本書は、これまでにも埋もれていた文献を発掘し、新解釈を世に問い話題を提供してくれている我らがアイドル竹井英文先生のこの秋の新刊書です。近年の新出史料「里見吉政戦功覚書」を解読した内容ということで、きっと今回も読みやすくて、戦国人が生き生きと蘇ってくる内容なのだろうと期待できます。同じシリーズ005番の、松本一夫著『中世武士の勤務評定――南北朝期の軍事行動と恩賞給付システム』と合わせて読むと面白そうです。本が届いたら改めて紹介したいと思っています。
[2019.10.05(Sat) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 中世の善哉公社 武士の恩賞給付システム 

2019年09月20日 ()
1908221.jpg戎光祥選書ソレイユ005
『中世武士の勤務評定』 松本一夫著
            戎光祥出版 2019年 1800円

本書の構成は、
 第一部 参陣から恩賞給付までの流れ
 第二部 軍勢催促・軍功認定・恩賞給付の再検討
 第三部 南北朝期の戦闘の実像に迫る
となっている。

第一部では、参陣から恩賞給付までにどのような書類が交わされるかを順を追って解説している。
  軍勢催促状を受け取る
  着到状提出→着到帳記載→承認を受けた着到状返却
  軍忠状提出→承認を受けた軍忠状返却
  挙状
  感状
  申状
  充行状
という書類上の手続きが必要になるようだ。軍功認定の手続きのために官僚システムが作られて、恩賞のためとはいえ手続きを辿っていく面倒くささに辟易してしまったことだろう。落語の善哉公社を思い出してしまう。
また、ウモさんの名曲「境目哀歌」の3番に、
   俺にかかわり無い軍 先方衆をやらされて
   敵の鉄砲で傷負った 兵も沢山失った
     だのによ恩賞は 感状一枚これっきり
     やってられない やってられない 境目の領主
という歌詞がある。感状を出してもらえるまでも長かっただろうが、その後、所領を手に入れるにはまだまだ道は険しそうだ。

第三部では、兵糧、武器と戦闘形態、石、切岸合戦、堀の埋め方、分捕切葉、旗差、野伏、忍者、生虜、陣所、南北朝期の城郭、文書管理、武家の女性の役割、神仏への信仰などについて、短い解説ではあるが面白い内容になっている。

全編を通じて一次史料に基づいた解説になってるので、思い込みを修正して実態が見えてくると思う。
[2019.09.20(Fri) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 美浦と周辺地域の中世史講義録の完成 

2019年09月15日 ()
1909091.jpg平成28年度歴史講座講義録
『史料で探る美浦の中世史』
          美浦村教育委員会 2019年 1500円

 2年前の2017年1月から3月にかけて、美浦村文化財センターで行われた、平田満男先生による3回連続の講義録が完成しました。
  第一講 信太庄を中心に  (17年1月29日)
  第二講 土岐原氏を中心に (17年2月12日)
  第三講 神社寺院を中心に (17年3月5日)

 平田先生は土岐原氏研究の第一人者であるばかりでなく、稲敷地域を中心に各時代の歴史、民俗などに造詣が深く、いかなる疑問にも立ちどころに解決の糸口をいただける、まさにこの地域の生き字引と言える存在です。先生に初めてお会いしたのは、まだお城歩きを始めたばかりの頃で、江戸崎城の場所を聞きに江戸崎町生涯学習課を訪ねた2000年10月16日でした。アポなしの飛び込みにもかかわらず、江戸崎城と土岐原氏と周辺地域の戦国史について1時間以上に渡って詳しく説明をしてくださいました(初めて聞くことばかりだったのでほとんど忘れてしまったのは残念)。それ以来、『図説 茨城の城郭』をはじめ、さまざまの機会でお世話になっています。先生は気さくでお話好きなので、これまでにも機会あるごとにさまざまな話題についてたくさんのお話をしてくださいましたが、いずれもその場で聞いてそれきりになっていることを残念に思っていました。今回、先生の頭の中にある膨大な知識の一部だとしても、連続講義の内容が冊子としてまとめられ、多くの人の目に触れる形になったのは画期的なことだと思います。美浦村文化財センターで購入可能ですので、ご興味ある方は問い合わせてみてください。
  →美浦村文化財センター
      所在地:〒300-0404 茨城県稲敷郡美浦村大字土浦2359
      電 話:029-886-0291
[2019.09.15(Sun) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 新刊書『常陸大掾氏と中世後期の東国』 

2019年09月10日 ()
1909071.jpg『常陸大掾氏と中世後期の東国』戦国史研究叢書19
     中根正人著 岩田書院 2019年 7900円

  →岩田書院ホームページ

 『続・図説 茨城の城郭』以来、茨城県中世城館跡総合調査委員会その他でお世話になっている中根正人さんの論文集が8月に刊行されました。これまで、論文雑誌や共著書などに収められた重要論文に加え、多数の新稿(*印)を加えた構成になっています。近年、県北を中心とした佐竹氏関連研究に勢いを感じる一方で、めざましい進展に乏しい感のある県南の中世史ですが、名族大掾氏を中心に据え、周囲の諸勢力との関係に目を配っている本書は、高橋修編『常陸平氏』(戎光祥)を補い発展させ、今後の関東中世史研究に於ける存在感を確立していくと感じられます。

目次
序 章 中世後期常陸諸氏研究の現状と本書の構成(*)
第一部 十四から十五世紀の常陸大掾氏
 第一章 中世前期常陸大掾氏の代替わりと系図
 第二章 大掾浄永発給文書に関する一考察ー観応の擾乱期の常陸ー
 第三章 南北朝〜室町前期の常陸大掾氏
 第四章 室町中期の常陸大掾氏
 補論一 「平憲国」再考(*)
第二部 十六世紀の常陸大掾氏とその周辺
 第一章 戦国初期の常陸南部ー小田氏の動向を中心としてー(*)
 補論二 戦国初期の大掾氏ー大掾忠幹の発給文書からー(*)
 第二章 戦国期常陸大掾の位置づけ
 第三章 大掾清幹発給文書の検討ー花押形の変遷を中心にー(*)
 第四章 「南方三十三館」謀殺事件考
 補論三 島清興書状にみる天正十八年の大掾氏と豊臣政権(*)
第三部 中世後期の常陸の諸勢力
 第一章 室町期の常陸小栗氏(*)
 第二章 古河公方御連枝足利基頼の動向
 第三章 十六世紀前半の常陸真壁氏(*)
 終 章 中世後期の常陸大掾氏と常陸国(*)
初出一覧
あとがき
索引
[2019.09.10(Tue) 00:00] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 『図説 鎌倉府 ー構造・権力・合戦』 

2019年08月18日 ()
1908082.jpg『図説 鎌倉府 ー構造・権力・合戦』 杉山一弥編著
                戎光祥出版 2019年 1800円

 鎌倉府は関東中世史、戦国史を見るときの要であるが、その構造、権力関係、歴史は複雑でややこしい。それ故どこから手をつけようかと立ち止まってしまうが、本書はコンパクトな構成で全体を掴みやすくなっている。各項目の記述は短いのでこれだけでは詳細まではわからないが、他書を読むときの副読本としても便利だと思う。
[2019.08.18(Sun) 00:31] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 常陸太田城での調査と現地説明会 

2019年07月19日 ()
1907191.jpg常陸太田市栄町の元JT跡地(常陸太田小学校北東隣)で発掘調査が行われています。[『図説 茨城の城郭』掲載図(右図)でいうと□印に相当する部分が調査区域]
すでに堀跡や土塁が見つかっているらしいです。江戸時代に描かれた古絵図と一致しているのかどうかとても興味をそそられます。古絵図を元にしてPちゃんや余湖さんがそれぞれに詳細な復元図を作っていますが、それによると敷地の中央部分にも堀が隠れている可能性があるので、そこの調査もしないわけにはいかないだろうなと思われます。
常陸太田市のページにはまだ詳細が掲載されていない様ですが、公開の現地説明会が8月24日(土)に予定されているようです。

[追記]後日入手したチラシからの情報。
 →チラシ:太田城跡 現地説明会のお知らせ
開催日時:2019年8月24日(土)
       10時〜11時30分
       延期の場合8月31日(土)10時〜
集合場所:現場事務所(栄町102-1)
駐車場: 会場内の来場者用駐車スペースをご利用ください
問合せ先:常陸太田市教育委員会文化課 TEL0294-72-3201
[2019.07.19(Fri) 09:11] 調査・発掘情報 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 落語会のおしらせ 

2019年06月22日 ()
1906221.jpg第4回 お寺DEキララ寄席

 土浦でキララちゃんバスを運行しているNPOまちづくり活性化土浦と城藤寄席の世話人会どきんくらぶが共同主催する落語会です。

 日時 7月7日(日) 15時開演 (開場14時30分)
 場所 瀧泉寺 (土浦市中央2-11-12) 
 料金 無料(ただし要予約)
 電話 029-826-1771 (まちづくり活性化土浦)
 出演 落語:好文亭梅朝、有難亭真仮名、牛久亭学津
    お囃子:土浦里神楽 翁会
*右のポスターも御覧ください。
[2019.06.22(Sat) 08:58] いろいろなお知らせ | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 木原城主・近藤利勝像の展示会 5月26日まで 

2019年05月23日 ()
うっかりして、こちらで案内するのが遅くなりました。

1905231.jpg美浦村指定文化財になったお披露目的な展示会ですが、すぐに県指定になってもおかしくないクラスのお宝と見られています。小田氏や真壁氏の肖像画とは別系統の、小田原系の絵師に近いものの様です。講演会は終わってしまいましたが、展示は今日を入れて4日残っています。お時間のある方はぜひご覧になってください。
[2019.05.23(Thu) 10:47] 展示会・セミナー | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 雨谷昭編修『土浦関係中世史料集』完結  

2019年04月30日 ()
1904301.jpg『土浦関係中世史料集 上巻』 2015年
『土浦関係中世史料集 下巻』 2019年
  雨谷昭編修 土浦市立博物館 各巻2000円

 雨谷昭先生が収集・編修された、『土浦関係中世史料集』上・下巻が完結しました。収録されていないのを残念に感じる周辺地域の文書もありますが、「土浦関係」に絞って集めたという意義は大きいと思います。自分の様な文書の読めない者にとっては、ここに収録した667本だけでもとりあえず目を通しなさいと言われている様に感じられました。

土浦市立博物館:土浦市史資料集『土浦関係中世史料集 下巻』を販売しています
[2019.04.30(Tue) 20:45] 本のご案内Trackback(0) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク すばらしかった!林外城および中城講演会&現地見学会 

2019年04月10日 ()
1904102.jpg4月7日、林外城と中城に関する講演会&見学会に参加して多くの知見を得ることができました。午前の部は、中根正人氏が「史料に見る林氏と南方三十三館」、遠山成一氏が「中世城郭と宿」について講演をし、最後に高橋修氏が全体の講評をおこなう構成で、林氏の存在感が浮き彫りになった内容の濃いそれでいてわかりやすい講演会だったと感じました。午後の現地見学会は会場から歩きで外城、中城を往復する2時間30分のコース。外城の中は、かつてのどヤブ時代を知っているヤブレンジャーには夢のような光景が広がっていました。また、個人所有地のため普段は入ることができず、今回初公開となった中城主要部は、外城とはまた違った趣の縄張で、時間の都合で回りきれなかった巨大な惣構を含めて、築城主体や時代を考える貴重な遺構と感じました。天気が良かったのも賜物でしたが、グループごとに看護師をつけ、2城の中間地点にはサポートカーを待機させ、青竹で作った杖を充分な本数用意し、歩きなれない人でも着いて行けるくらいに時間的ゆとりを設けるといった、準備してきた林城保存協力隊他サポーターの方々のきめ細かい配慮に誠意を感じるイベントでした。それぞれが並外れた巨大城郭で、それを2城も抱えての保存整備活動の今後は、なかなかたいへんなことが予想されますが、今回のイベントをきっかけにして、多くの人に歴史的価値が認識され保存活動への理解が深まることに期待したいと思います。

 →余湖くんのホームページ掲示板:林城見学会!
 →北緯37度付近の中世城郭:林城見学会
[2019.04.10(Wed) 11:48] お城情報 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 御座替祭の日のつくば道 

2019年04月01日 ()
1904013.jpg今日は筑波山神社の御座替祭ということで、平日の割にはイベントや建物公開もあるらいしいので行ってみた。筑波山口バス停に駐車。ここは旧筑波鉄道筑波駅跡地で、現在はりんりんロードの休憩所として駐車場やトイレが整備されている。ここから稲葉酒造を目指して出発。

1904014.jpg男女川などの清酒を造っている稲葉酒造酒蔵。後で運転をする都合上利き酒もできず、またこれから山登りなので酒も買えず、ヨメさんが酒粕を買っただけ。ここから東へ一の鳥居(別名、六丁目の鳥居)まで歩き、そこからつくば道を直登した。

1904015.jpgつくば道沿道の大越家住宅。Tsukuba Olive Clubのオリーブ茶とお菓子をご馳走になる。

1904016.jpg大越家住宅のすぐ上にある旧筑波郵便局。昭和14年築の下見板張りの建物。これまで何度も通っているが開いているのは初めて。乙女のつくば道スタッフのかのこさんが店番をしていた。

1904017.jpgつばきの井で井戸のお話を聞いて、下山。一の鳥居では御座替の御神輿の出発準備の真っ只中を突っ切った。

1904018.jpg筑波山口バス停の周辺を歩いていて見つけた沼田バス停近くの沼田屋本店で、四六のまんじゅうとがままんじゅうをを購入。この後、土浦のかえるかわるこさんに会ってこの写真を見せたら、顔が怖いと言われてしまった。しかし、裏側にはがまの背中がデザインされていて、なかなか芸がこまかいのだ。
[2019.04.01(Mon) 22:06] 散策 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


リストマーク 関東戦国全史~関東から始まった戦国150年戦争 

2019年03月02日 ()
1809271.jpg『関東戦国全史~関東から始まった戦国150年戦争』
       山田邦明編 洋泉社 2018年 950円

第I部 足利氏と上杉氏の時代
第II部 台頭する北条氏と足利・上杉との角遂
第III部 北条氏と諸勢力との軋轢
第IV部 北条諸国の解体と関東戦国の終焉

 永享の乱、結城合戦、嘉吉の乱は一言で済まし、享徳の乱の直接の原因になった江の島合戦あたりからいよいよ関東150年戦争が始まる。足利、上杉、北条に加えて、常陸、下野、房総の諸勢力の動向にも満遍なく目が配られているが、それゆえに、登場人物というか登場氏族の数が膨大で、数回読み返して分かったつもりになっても、数日すると記憶がリセットされてしまうかのようだ。新書版故の制約ではあるが、巻末の、関連地図、年表、参考文献のページは、字が小さくて老眼には読むのが辛い。ともかく、小型本の中によくこれだけ詰め込んだものだと感じる。関東戦国史の一通りの流れが分かっている場合には、ハンドブック的な使い方が便利なのではないだろうか。
[2019.03.02(Sat) 23:13] 本のご案内 | Trackback(-) | Comments(0) 見る▼
↑TOPへ


BACK | TOP | NEXT

周辺地域のイベント情報

PROFILE

CATEGORY

ENTRIES

COMMENTS

TRACKBACKS

北海道道南

陣屋と台場

[改訂版]
1500円(送料込)